「Web広告やSNSで大学生向けに発信しているが、手応えがない」 「Z世代と呼ばれる彼らに、自社の商品・サービスをどうアピールすればいいか分からない」
企業のマーケティングご担当者様から、こうしたお悩みを伺う機会が増えています。デジタルネイティブである大学生は情報リテラシーが高く、あからさまな“広告感”のある発信には敏感に反応する傾向にあります。
しかし、彼らが一日の大半を過ごす「大学キャンパス」という空間では、Webとは異なるかたちでのコミュニケーションが可能です。生活動線上のリアルな接点は、デジタル広告に慣れた学生にとっても新鮮で、印象に残りやすいアプローチとなります。
本コラムでは、大学生マーケティングに成功した5つの企業事例を業界別にご紹介。具体的なアプローチ手法と成果について解説します。
事例1:【食品・飲料】大学構内での「リアル体験」を通じたブランドの浸透

- クライアント:大手飲料メーカー様
- 商材:新商品の炭酸飲料
- 課題:新商品の認知拡大とブランディング。Webでは伝わらない「味」と「爽快感」を直接体験してもらい、新たなファン層を獲得したい。
実施施策
首都圏の大学の構内にキャンペーンブースを出展。ブース自体を商品の世界観を表現したデザインにすることでひときわ目立つ空間を演出。学生が思わず立ち寄りたくなる雰囲気を作りました。
また、単に商品を配るだけでなく、スタッフがその場で商品を開封し、冷えた状態で学生に手渡しすることで商品の「美味しさ」と「爽快感」をダイレクトに伝えました。
さらに、試飲した学生にはその場でアンケートを実施し、リアルな感想を収集する仕組みも構築しました。
成果
- Web広告では難しい「飲用体験」を大規模に提供し、商品の味とブランドイメージを刷り込むことに成功。
- 洗練されたブースデザインも相まって、配布前から長蛇の列ができるほどの盛況ぶりでした。
- 受け取った学生が喜びの声をSNSに投稿するなど、ポジティブな口コミが拡散。学生の間でも話題となり、新たなファン層の獲得に大きく貢献。
- 同時に収集した生のアンケート結果は、クライアント様の今後の商品開発やマーケティング施策に活用される貴重なデータとなりました。
事例2:【化粧品】学園祭ブース出展 × サンプリングによる「自分ごと化」

- クライアント:大手化粧品メーカー様
- 商材:男性用化粧品
- 課題:競合製品がひしめく中、男子大学生に商品の機能性を広く認知・理解させたい。
実施施策
大学生のエネルギーが高まる「学園祭」に着目。フォトブースとフォトプロップスを用意することで写真撮影を促しSNS投稿による話題を醸成。キャンペーンスタッフのブルゾンにハッシュタグを掲載することでSNSでも拡散され、2日間で想定数を大きく上回る数の配布を行いました。
成果
- 「非日常の楽しさ」とブランド体験を結びつけることで、短期間で強い印象を残すことに成功。
- 「気になっていたもの」をその場で貰えるというサプライズ体験が、ブランドへの好意度を大きく向上させました。
- フォトスポットを用意することで、その場の盛り上がりがSNSへと自然に波及。UGC(ユーザー投稿)の拡散を促しました。
事例3:【IT・人材サービス】新入生の「最初の接点」を掴むアプローチ

- クライアント:人材サービス企業様
- 商材:大学生向け時間管理アプリ
- 課題:大学生活が始まるまさにその瞬間にアプリを認知させ、競合サービスに先駆けて利用を促したい。
実施施策
大学生が新しい情報に最も敏感になる「4月の新学期・履修登録シーズン」に2つの施策を同時に展開。
施策①
新入生勧誘チラシ裏広告:新入生がサークル勧誘時に上級生から必ず受け取る「新歓チラシ」。その裏面を広告枠として活用し、東名阪の主要大学で大規模に配布しました。「企業から」ではなく「学生(上級生)から学生(新入生)」へ手渡されるため自然に受け入れられ、印象に残りやすいシチュエーションを実現しました。
施策②
入学式サンプリング:首都圏の複数大学の「入学式会場前」で、式を終えたばかりの新入生に向け、アプリ紹介のチラシをダイレクトにサンプリングしました。
成果
- 新学期の「困りごと」が発生するまさにその場所で、解決策としてアプリを提示することに成功。
- 新生活への期待感が高まる「入学式直後」という絶好のタイミングでアプローチしたことにより、多くの新入生がその場で立ち止まり、チラシを熱心に読み込む姿が見られました。
- Web広告では難しい、新入生の「大学生活の最初の一歩」という最も重要なタイミングを確実に押さえ、競合に先駆けた利用促進と認知向上を実現しました。
事例4:【採用・BtoB】学食トレイ広告による「早期の認知形成」

- クライアント:BtoBメーカー様
- 商材:新卒採用ブランディング(インターンシップ募集)
- 課題:業界内では有名だが、一般学生からの知名度が低く、優秀な学生のエントリーが集まらない。
実施施策
就職活動が本格化する3年生になる前、1〜2年生の低学年層への早期接触も重要と考え、ターゲットが集中し、食事中に必ず目にする「学食トレイ広告」を実施。
ターゲットとする理系学部のあるキャンパスに絞って広告を展開することで、Web広告ではリーチしきれない層への接触を図りました。
成果
- 理系学部に近い食堂で掲出することで、ターゲット属性の学生に的確にリーチ。
- 大学の食堂内という信頼性の高い場所で告知することで、学生に信頼感を与えました。
- 複数月にわたり広告を展開することで、学生との接触機会を継続的に創出。繰り返し目にすることで認知拡大とエントリー意欲の喚起に貢献しました。
事例5:【金融・カード】「日常」に溶け込む、学生マンショントレイ広告

- クライアント:地方銀行様
- 商材:クレジットカード(新生活応援キャンペーン)
- 課題:新生活を始める大学生・専門学生に対し、クレジットカード入会とキャンペーン認知を促進したい。競争の激しい新生活シーズンに、彼らの「私生活」の動線上で確実にアプローチしたい。
実施施策
大学生がキャンパス外で多くの時間を過ごす「食事付き学生マンション」というプライベートな空間でのアプローチに特化した「学生マンショントレイ広告」を実施。銀行の重点エリアに所在する学生マンションを中心に広告を掲出し、新入生を含む居住学生の生活動線に自然な形で入り込むアプローチを行いました。
クリエイティブでは新生活キャンペーン告知とあわせて、初めてのカードを持つ学生の不安を払拭するような安心感を訴求しました。
成果
- 銀行の重点エリアに合わせて掲出物件を指定できるため、無駄のないターゲティングを実現。居住者が学生(若年層)に限定されているため、ターゲット層へ確実にリーチできる点が最大の強みとなりました。
- 朝夕の食事のたびに広告が目に入るため、学生の私生活に溶け込むかたちで高い視認性を確保。
- 自宅というリラックスした空間で繰り返し接触することで、広告内容の理解度とブランドへの親近感を醸成しました。
まとめ:成功の鍵は「高精度セグメント」と「印象的な体験」
ご紹介した事例に共通するのは、一般的なWeb広告のような「不特定多数」へのアプローチではなく、「大学キャンパス」や「学生マンション」といったターゲット(学生)へのセグメント精度が極めて高い空間で、「特別感」や「印象的なタッチポイント」をともなってアプローチしている点です。
- 「学食」という日常空間での、自然な刷り込み(事例4)
- 「キャンペーンブース」という非日常空間での、特別感のある体験(事例1・2)
- 「新歓期」という節目での、信頼できる先輩からの手渡し(事例3)
- 「学生マンション」という私的空間での、毎日の接触(事例5)
大学生に本当に届くマーケティングをご検討の際は、Web施策と併せて、ターゲット以外への無駄打ちが発生しない高精度なセグメントと、彼らの記憶に残る「リアルプロモーション」を設計することが成功の鍵となります。
その他の大学生向けメニューも多数取り扱っておりますので、大学生プロモーションについてのご相談等ありましたらお気軽にお問い合わせください。


